今日は過去に読んで感銘を受けた著書を。
「動物感覚 アニマル・マインドを読み解く」
かなり前に読んだ本だから、ものすごく記憶がうろ覚えです(;´・ω・)
なので、久しぶりに感想を書くために斜め読みしました。
当時の担当編集さんからオススメされた本で、すごく面白くてイッキに読んだ記憶があります。
著者:テンプル・グランディンという名前を聞いて、「白熱教室」を思い出す方もおられるのかな?
私も「テンプル・グランディン」の講義は見ましたけれども。
こんな女性だったのか~と驚きました。
自閉症への理解を深めるために世界的に活躍してきた筆者。
自らの経験を基にした著書も多数刊行されています。
そのテンプル・グランディンさんの半分自伝でもあり、動物科学博士号を持つ筆者の経験から成り立つ動物行動学の著書でもあります。
著書を読むと、人間が、いかに人間的な感覚で動物と接しているか……というのが理解できます。
テンプルさんは自分が自閉症だからわかると記してあります。
とはいえ、自閉症の方すべてが理解できるということではないと思いますし、同じ自閉症だったとしても、違う感覚の方もおられるでしょう。
その点を考慮して読み進めるといいかな。
さらに、もうひとつ。
注意しておくべき点があります。
やや文章の繰り返しが多いなと感じる部分です。
著書にはテンプル・グランディンさんが牛や豚の屠殺場での経験を語りながら、ご自身のシステムが全米で活用されていることを述べ、牛や豚がどのような視点と感覚でいるのかを自らの経験から細かく書かれています。
そこの部分がやや重複しているなと感じるときがありました。
仕事柄、精肉業界に長年携わっていることを考えると、そこは仕方がないとも思えます。
別段、私には気にならなかったのですが、気になる方には気になるのではないかと。
私は屠殺場のお話し多いな~くらいで、あまり気にならなかったのですが。
この本の最初のほうに
「私がテープレコーダーといわれたのは、たくさんの文句を記憶にたくわえておいて、おしゃべりをするたびに、何回も、しつこく繰り返したからだ」(P10)
……と、書かれてありましたしね。
だとしたら、書くことも重複してしまうかもな、と^^
同じことを繰り返ししゃべっていたのなら、文章だって繰り返すだろうと思ったんですよね。
また、ご自身の学生時代を振り返ることで、テンプル・グランディンさん自身の思考の在り方、言葉の作り方というか……
彼女が言う「ふつう」と思われる私たちとは違う、テンプル・グランディンさんの考え方の仕組みも書かれているので、おそらく、この重複も違う感覚によるものだと思えるんじゃないかと。
自分は自閉症で、普通の人とは違う脳の働き方していたからこそ、動物の他の専門家と違う視点で見ることができると述べる筆者だからこその重複だと考えたら、すごく自然な感じがしました^^
まぁ、個人的な感覚なので、差はあると思います。
嫌な人には嫌だと思うし^^;
やはり注目すべきは、著者自身がご自身の感覚を通して動物を理解しようとしている姿勢であり、そこから得られる考察だと思います。
学者が実験などで頭だけで考えた動物行動学ではなく体感なので、ストンと腑に落ちるというか……
普通の学術書だと眠くなったでしょうね(笑)
なので学術書として考えると、少し不思議な感じがあります。
半分自伝と先に書いた理由はそこにもあります。
著書で気になったのは、鶏からたくさんのムネ肉を取るために長年品種改良を加えた結果だとか、犬の品種改良のお話しだとか…
人間のエゴイズムが生み出した経緯が、未来を生きる人間への警告のようにも感じました。
私は自閉症の方々に接した機会がなく、また自らの体験にもないので、著者の体験に関してはなるほど~と思うしかないのですが
ただ、一辺倒に「自閉症」という言葉で片づけてはいけないなとは感じました。
同時に、テンプル・グランディンさんが自閉症だったからこそ、得ることのできた動物に関しての記述に感銘を受けました。
動物とともに生き、ともに学んでいくには、人間は、動物に対してだけではなく、人に対しても考え方を変えるべき時代に入っているのではないか
そう思わせてくれた1冊です^^
おススメしたい著書なのですが、すでに絶版になってるためAmazonでの中古品の値段がやや上がっています。
私が見たときは17000円代でした(;´・ω・)
今は4000円くらいに落ち着いているようですね。
おそらく図書館で借りられるんじゃないかと思います。
学術書としてもおもしろいので、機会があればぜひ読んでみてくださいね^^
動物感覚 アニマル・マインドを読み解く