おはようございます、いりの@です。
今日も過去に読んだ本のご紹介。
第153回芥川賞受賞作品。
お笑い芸人の又吉直樹さんが描いた「火花」です。
なぜかずっと「花火」と勘違いしてました(笑)
発売されたばかりの頃、本屋で1ページ目を読んだ瞬間
「この作品、芥川賞受賞するな…( ̄ー ̄)ニヤリ」
……と、なぜか感じた作品でした。
そのせいか、以前から読みたいとは思ってましたが、ほとぼりが冷めるまで待ってました……
……と、いうのは冗談で(笑)
購入を控えたのは積んでいる本が多すぎたためです。
ただ、本屋で手に取って1ページ目を全文読み終えたとき、芥川賞を受賞するかもしれないなと感じたのは本当です。
それは読後に感じる不思議な感覚から得た直感もありますが、昨今の出版社事情から予測しての先読みも混じっていました。
でも、作品が良くなければ受賞はありえませんので、どんな事情があるにしても、芥川賞受賞は素晴らしいことだと思います。
それでは、今日もネタバレ気味に感想GO!
売れないお笑い芸人の徳永が、先輩であり、天才肌のお笑い芸人である神谷と出会い、彼を師を仰ぎ、伝記を書くように言われたこともあってか、日々のかなりの時間を共に過ごすようになります。
(※一緒に暮らすとかではないです)
お笑い芸人を通じて描かれる「夢」の一生。
赤裸々につづられるお笑い芸人たちの生き方は、又吉直樹という人物が「お笑い芸人」として生き抜くために関わってくれた、すべての人たちへの感謝と愛の表現。
読了後、なぜかそんなふうに思えました。
決して後味の良い終わり方ではないですし、おそらく、延々と二人はこうなのだろうと思いましたし、それでも、違う道のまま生きてゆくのだろうとも思いましたが……
そこには好きなことに対してへの愛があり、取り巻く人間模様に対してへの恐怖と葛藤もあり、同時に、人間への愛があります。
長い時間をともに過ごし、さまざま体験を通じ、やがて自身のコンビ解散という流れを経験してゆくうちに、徳永の内にあった神谷への心情は、崇拝すべき神的なものから
自然にお笑いという世界でしか生きることのできない、純粋な人間へと降下してゆきます。
ですが、そこの流れもまた良い感じでした。
そして始終感じていたのは作者:又吉直樹さんのお笑いへの愛です。
徳永という青年を通じて、そこは強く感じました。
お笑いの世界に居て、いまも居るからこそ、今の僕がある。
そんなふうに受け止めてしまいました。
それがあるからこそ、この「火花」という作品が、私の中では、芥川賞特有の読んでスッキリはしないけれど、でも、なんとなく読後感の良い作品として残ったのかもしれません。
作者である又吉さんはお笑い芸人は辞めてもいませんし、ピースも解散はしていませんが、又吉さんは言葉にして言えないなにかを文章として形にしたような気分になります。
先に「後味の良い終わり方ではない」と書きましたが、別段、人が死ぬとか殺されるとか、騙されるとか、悪意に満ちたなにかで終了というわけではないです。
ですが、受け止める人によってはかなり後味悪いだろうなぁという部分があります。
ですが、その部分こそが神谷という、徳永が一時的にでも師匠として崇めた存在の根幹が現れている部分だと思うので外せない気がします。
先週、ご紹介した「きことわ」と比較するとアレですが(汗)
やはり、漢字が多いので文章が硬いイメージがつきますね。
きことわの文章のやわらかさを反動で思い出しました。
でも、こういう文章も私は好きですけれども^^
個人的には、処女作でこのページをこのレベルで書けるか~と、妙な感動もしてしまいました。
(※のちに、劇場のほうが先に書かれていたらしいと知りましたが(;´・ω・))
わかりにくい方は400字詰め原稿用紙80枚を、物語にして言葉で埋めてみてください。
又吉直樹さんのすごさが、ちょっとだけわかるかもです。
(※個人的な感想なので、保証は致しませんが(;´・ω・) あと、物語を書き慣れている方は別です)
とはいえ、個人的には良かったと思いますし、おもしろかったとも思います。
好きな作品のひとつに入りました。
又吉直樹さんの小説はまた読みたいですね。
積んでいる本が減ったら買います(笑)
それにしても「火花」……
かな~り前に(たぶん、火花が話題になっていた頃)NHKでドラマ化していて、全話録画していたのですが、当時は仕事や私事でいろいろと忙しくて見る暇ないだろうと、消去してしまったことが悔やまれます……( ;∀;)
今ならゆっくり見られるし(その頃には考えてもいなかった暇っぷりではありますが)
映画が2017年11月23日に公開されてましたね。
やっぱり忙しくて映画館へ行くことができなかったので、レンタル借りてきて観たいですね。