私は読書は好きですが、忙しいこともあって、月に10冊以上は読めていないので、「読書好き」という部類には入らないと思っています。
必要な資料を読むとか、そういうことは執筆をする方ならばあたりまえのことなので、まぁ好きで読んでいるのとはやや違うかな。
それに読み方がひどいというか……
1冊を読み終えてから読むのではなく、つまみ食いのようにあちこち読むという……乱読と言えばいいのかな?
好んで読むのは実用書とか、資料になりそうな本ばかりですが^^;
もちろん、小説も読みます。
同期作家さんの作品とかも読みます。
それに伴って、今までに読んだ本とかの感想を書いてみようかと思いました^^
(※ややネタバレ含みますが、ご容赦ください)
……で。
読み終わったのは「村上海賊の娘」
単行本のほうです。
読み始めた理由が、高校時代の友人が「この主人公、きみに似てるね!」と言ったから。
読み進めているうちに、「ちょっと似ていたかもしれない…」とか思ったのは内緒ですw
とはいえ、すべて似てるわけじゃないけども^^;
景姫みたいに豪快でもないし、大雑把な性格でもない。
男勝りではあったけど、女の感情に鈍感だったつもりはない。
どちらかと言えば気が小さいほうだったし…
男でありたいと願ったことは多いけど。
私が主人公・景姫に似ていたかはさておき(笑)
作品の舞台は戦国時代。
村上海賊の筆頭である「能島村上」
主人公は、その当主である村上武吉の娘「景(キョウ)」
村上海賊を知っている方って多いのかな?
私はポルノグラフィティの出身地を訪ねたときに、初めて「村上海賊」という存在を知りました。
「因島村上」ですね。
本当に小さな小さな跡地ですが、そういう場所があったので……
そうか、日本にも海賊がいたんだな
つーか、いてあたりまえか、島国で海が近いんだから
……と、妙に納得したのを覚えています。
作者の和田竜さんも行かれたのではないかな?^^
読んでいる途中で感じたのは、景がやや二十歳にしては幼稚な女性だということ。
これは最後まで変わりませんでした。
そういう意味では、主人公の景を受け入れられない人もおられるかもしれません。
おだてには簡単に乗るわ、思いのままに行動するわ……
叩きのめされたら素直に帰って姫になってしまうわ。
姫としては思慮に欠ける発言も多いですし、まぁ幼いこと、幼いこと。
ですが、その幼稚さがクライマックスへと生きてゆきます。
おそらく、女性として成熟していたら、こんな行動はとれないでしょうね。
二十歳という年齢は高すぎないか?…とも思いましたが、実在の人物たちの年齢と合わせなければいけませんし
(架空のキャラクターではないようですし)
あと、年齢が10代を下回ると、おそらく景というキャラクター設定が生きないな、と感じました。
そうなると、景の行動のすべてが破たんするかな~と。
ここは作品としての難しさを感じます。
あと、Amazonの書評などでも書かれていますが、セリフに現代語が入り混じっていることも、もしかすると、時代小説慣れしている方にはちょっと辛いかもしれませんね。
ここぞってところでは武士らしい言葉遣いなんですが、ちょっとしたところ(プライベートな部分?)が現代の日常会話そのもの。
たとえば、弟:景親の
「ったく、どんだけ悪さしてきたんだよ、うちのご先祖様は」
…とか。
来島村上なら、従姉妹に当たるのかな。
来島村上の姫御前、琴姫の
「わかんないな、そういうのは。でも元清様は表向きのことも話してくれるから聞いているだけで楽しいわ」
……とか。
個人的にはアリだと思いましたけども^^
ですが、このお話、なぜか映画やドラマじゃなくて、アニメで見たいな~と思うんですよね。
それも劇場版。
絵の上手いアニメーターさんたちに、じっくり作りこんでいただきたいです。
コミカライズはされてますけどね……
現在9巻まで刊行されています。
編集さんの突飛もない思い付きに振り回される作家さんって、けっこう多いんですよね……(;´・ω・)
いちばん辛いのは描いている吉田史朗さん、ご本人かもしれません。
原作を読んだら、足し引きする部分少ないってわかりますもの。
絵がうまいので、なおのこともったいない失敗ですね。
このコミカライズ、一方で削られたシーンもありまして……
冒頭の鈴木孫一と大坂本願寺・門主顕如とのやりとり、けっこう好きなシーンなのにマンガではなくなってました( ;∀;)
ガッカリだ……というか、ここ、とても大事だと思うんだけど。
主人公の景は出てなくてもさ。
どうして本願寺へ行くことになったのかの理由付けだと思うんだよ。
とはいえ、小説を漫画化や映像化するに当たって、どこかを省いて、どこかを足すのは致し方ないことだと思っています。
小説ならば地の文で説明できるところを、漫画だと絵とセリフで説明しないといけませんからね。
それはドラマや映画も同じですが。
なんとなく何かしらの映像化はされるんだろうなぁ。
「村上海賊の娘」を読んで、あまりの面白さに「のぼうの城」を読まなければ!と思いましたが、まだ積んでる本がたくさんあるので自制してます(笑)
しかも「忍びの国」が映画化されてるし。
ストーリー展開に関して言えば、達者というか、なんというか、前振りが巧です。
この舞台も、この流れも、このセリフも、すべてはココに集約するんだなぁ~~と感動しながら読みました。
もちろん、その巧みさは一流の作家さんなら、どの作品にも当てはまることですが……
それにしても、時代小説は資料をまとめるのが難しいし、それを精査するのも時間かかるし、さらに、そこから情報を引いていかなければならないし、本当に手間暇かかる作品だと思うのですが……
(※資料の手間は現代小説でも変わりはないですが…)
それを説明を加えつつ、さらりと読ませる力があるというのが、もう尊敬ものです。
時代の説明などは下手するとくどくなりがちなので、さらりと書くのが難しい。
かといって、その時代の説明を入れないと、現代人の私たちは当時の空気を読み取ることができない……
本当に難しいなと読みながら感じています。
自分の作品の資料だけでも持て余したのに~~( ;∀;)
せめて資料に踊らされない作家になりたいものです。
さて、個人的には面白い!と感じた
「村上海賊の娘」
まだ読まれていない方は一度読んでみてくださいね。